院長のメモ |
患者さんは島根県在住の方。風呂の中で熱傷して、近医に入院。毎日ひどく痛い治療を受けていたが、患部は一向に良くならず、入院3週間後に移植手術を薦められる。初めに入院したところでは手術ができないため、約3時間かけて他の病院へ転院することとなった。ご本人は手術が嫌でなんとか避けられないものかと思案していたところ、お子さんがインターネットで当院を知ることとなり、「3時間かけてお父さんがやりたくない手術をしにいくなのなら、東京に行って手術をしないで、痛くないという治療を受けてみない?」と提案、来院となった。 来院時の患部は異臭をはなち、明らかに感染をおこしていた。また、焼けて壊死におちいった皮膚が塊となっていて、ちょっと力を加えたりしてもとれない。患者さんは常に疼痛を訴えて、上向きでねることもできず、また、右側部まで患部があるので、こちらも下にして寝ることができず、満足に睡眠をとることもできないでいた。 2日目の治療では異臭はかなりあったが、それでも1回目のときにくらべれば改善していた。 奥様の話では、4日目の治療のあと、知らず知らずに上向きに寝て、患部を下にしても、痛みを感じていないようだ、とのこと。また、患部の異臭はほとんどなくなっていた。処置は痛くなく安心しているようではあったが、患部が良好になってきても、患者さんは「先生、わたし手術しなくていいのですよね?」と不安そうに聞いていた。「そう、あなたは手術をしないためにここにきているのですよ。」「そうですか、それを聞くと安心しますが、治療がすんで帰るとまた不安になります。」と何回も尋ねていたのが印象的だった。できればこのまま東京での治療を続けてもらいたかったが、東京ではウィークリーマンションを借り、夫婦2人でいるため気分転換が図れないことが気がかりだった。このまま鬱状態になる可能性も考なければと思った。そこで当院製の薬を持ち帰り、自宅での治療をおこなうこととなった。時折写真、ビデオも撮っていただくことも快諾してくださった。ときどき電話でそのときの状態をお聞きして、処置の仕方をアドバイス。初診から2週間で壊死した塊が自然に全部とれた時には診ていた家族全員から歓声があがったとか。順調に回復している証だ。 上皮化(乾くこと)は来院から約3~4週間で完了した。 本来これほどの深い(3度)のやけどは上皮化後約4ヶ月は肥厚性瘢痕(ケロイド)になるおそれがあるが、この島根の患者さんは、手術さえしなければ痕は残っても良いということなので、約2ヶ月で一応の治療は終えるということになった。 これほど深く、広範囲でしかも感染したやけどでも機能障害が起こらない限りわたしたちは移植手術をやらないで治すということをしている。 |
●治療経過のコメント● | |||
患部 | 日 付 | 医師のコメント | |
初診日 | 右中央の緑色のかたまりは、Ⅲ度のやけどで壊死になった皮膚。患者さんは、疼痛が激しく、患部に異臭があり、感染している。上向きに寝ることもできなかったが、4日後くらいには、痛みがとれたのか上向きに眠ることができた。 | ||
約2週間後 | 2週間後には、ほとんど乾いてきた | ||
約1ヶ月後 | 約1ヶ月で、ほぼすべて上皮化(乾くこと)した |
※患者さんの体質や当院に来る前までの医療機関、
家などでの処置にもよりますが家族みんなで協力して治していくことが大切です。
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