【 医師のコメント 】
48歳男性。右大腿部(前面、側面、後面)にガゾリンがかかり引火してしまう。2ヶ月弱他院で「湿潤療法」を続けていましたが一向に改善の兆しがなく、患部から悪臭が出るようになって来院。初診時には強烈な悪臭を放っていました。ご本人の許可を得て診察室の窓を開け、換気扇を回しての処置となりました。(悪臭の状況を伝えられなくて残念です)
これは患部に「いわゆるバイ菌」がついた状態、感染をおこしていました。感染をおこしていると患部は絶対に上皮化しません(乾きません)。「湿潤療法」をいつまでやっても無駄です。場合によっては植皮手術を薦められることにもなりかねません。
このような状態でも通常は当院の薬をつけて一週間もすれば感染は収まり悪臭をはなつことはなくなるのですが、この方の場合前面の部の感染が収まりにくく悪臭は少なくはなってきていてもなかなかとれません。この部だけ難治性となってしまいました。
他の部は約二ヵ月半、前面は三ヵ月半での上皮化でした。上皮化の遅れは当院治療開始時期の遅れと感染が影響しているのかもしれません。初期に治療開始をしていればこの方の「初めの治療期間である約2ヶ月弱」の間に大部分の上皮化は可能だったかもしれません。やけどは初期治療が大切です。
その後の経過は「Ⅲ度のやけどでとくに初期治療で難渋した場合」には上皮化後の1~2ヶ月ごろから肥厚性瘢痕になることが避けられないのですが、それほど瘢痕が盛り上がることもなく比較的平らで柔らかくなっています。このようなことは稀なケースですので今後の治療観察は必要です。
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